学生時代はバスケットボールをしていた辻本さん。ガス工事のことは全く知らなかったそうだが、一緒にバスケットボールをしていた地元の先輩に誘われたのが、この業界に入ったきっかけだという。
今日は、とある一軒家の修繕ゲンバ。作業ポイントは、ガス管内に異物が混入されていないか、ガス管の切り口が扁平していないか、マーキングしているところまでガス管が入っているかを2人で指差呼称してダブルチェックし、抜けなく確実な施工を行うことだ。
日々の施工のなかで、辻本さんが好きな作業はガス管の穿孔後、ガスの噴出を抑えるノーブロー作業という工法である。この工法は、着火の可能性を伴うガスを扱う上で、安全上とても重要な作業のため、緊張感があり、身が引き締まるという。そして、お客さま宅のガス管を引き直しする際は、費用を考慮しながらも、家のデザインとして見た目も悪くないか、十分にお客さまにご相談する。きれいに仕上げることにも強い『こだわり』を持って仕事に取り組む辻本さんの姿勢は、まさにプロである。
毎日ゲンバ仕事で意欲が出なかったり飽きたりはしないのか、と尋ねると、辻本さんは『全く逆です』という。似ているゲンバはあるけれど、全く同じゲンバはないので、毎日が応用の連続。いつも新鮮な発見や学習があるそうだ。
そのなかでも最も印象に残っているゲンバは、火災現場で消防局から緊急要請があったときのこと。周囲が規制されているなか、ガスのプロとして、消防士の方と打ち合わせを行い、止めても良いガス管と止めてはいけないガス管を把握し、ガスを遮断しガス漏れを確認した。
また他にも、とある社宅1棟の地中でガス漏れが発生したときのこと。3班合同の修繕体制で作業を行った際、施工班の統括リーダーとして、お客さまにガスのご使用を停止していただき、修繕費も高額になることを理解いただくために、1つ1つ丁寧にご説明し、納得をいただいた。修繕作業が無事に完了して、お客さまからお褒めの言葉をいただいたときには、この上ない達成感と充実感を感じて、この仕事をやめられないと感じたと笑う。
そんな辻本さんにも憧れの人がいる。辻本さんをこの仕事に誘ってくれ、仕事のノウハウをすべて教えてもらった先輩だ。その先輩の、1つ1つの仕事に対して真面目に取り組む姿勢を尊敬しているという。今後は、緊急保安の業務のみならず、資格を有している他工事業務や、まだ未取得の保全業務にもオールラウンドに携わっていき、すべての業務に従事できる人材になりたいという。その目標からは、辻本さんの志の高さが伝わってくる。
プライベートでは和歌山県や兵庫県での海釣りが趣味で、過去には1kgのイカを釣りあげたこともある程の腕前だ。ワークライフバランスのON・OFFをしっかり切り替えて、家族と行きたいところへ車で行き、楽しく過ごす時間が心の安らぎになっている。